劇団櫂人 公演記録

 

「例外と原則」 公演

作: ベルトルト・ブレヒト

翻訳: 岩渕達治

演出: 篠本賢一

 

第一回アトリエ公演 2013年1月

劇団 櫂人 稽古場“アトリエそら”にて

 

-キャスト-

商  人: 東條将孝

案内人: 秋元いるか

苦  力: 甲斐照康

警察官・判事: 福島睦

   同          : 向後正枝

宿屋の主人: 青木恵

裁判官: 菊地伸二

苦力の妻: 鈴木里花

キャラバン隊長: 脇田美穂子

 

 

■ベルトルト・ブレヒトについて

(1898.2.10~1956.8.14)

代表作 「三文オペラ」 「ガリレイの生涯」 「肝っ玉お母とその子供たち」

芝居の中で客観的、批判的を促す「叙事的演劇」で知られる。劇中に唄等を挟み込み、観客に奇異の念を抱かせる効果「異化効果」を多用する。戦中、ナチスを逃れ亡命。

 

■「例外と原則」~あらすじ

商人カール・ラングマンは石油の権利を求め案内人、苦力を連れてウルガという町を目指し旅をする。権利の独占を目論むカール・ラングマンは無茶な旅の行程する。

途中の町で案内人と苦力が話し込んでいるのを目撃する、無茶な旅の行程をしたため この二人を酷使したカール・ラングマン、後の旅での報復を恐れ、案内人を不当解雇してしまう。

案内人不在のまま旅を続けるが案の定、道に迷い水も底をつく、案内人の不当解雇を見ていた苦力は、自分の身を案じて自らの水筒をカール・ラングマンに渡そうと近づくがラングマンは苦力の報復だと勘違いして苦力を射殺してしまう。

そして、後に裁判が行われる。裁判の争点は、極限状態の中での“弱者”と“強者”の行動原理。極限状態で弱者は強者に対して報復するのは当然という「原則」、極限状態でも弱者は強者に対して施しをする事があるという「例外」、この二点で争われた。

結局、強者側の人間の裁判官は、カール・ラングマンに偏った判決を下し、カール・ラングマンは正当防衛で「無罪」となり物語は終わる。

 

■稽古から本番へ

まず、この公演が我々が普段使っている稽古場での公演という事

決して広く無い場所での公演で とられた演出は稽古場の両の壁二面に椅子を並べ観客席にして、両方向からの観劇を試みた。ブレヒトの演劇の特徴である「異化効果」を使った演出。ブレヒトの戯曲の中には、しっかりと“唄”の指定がある。我々は、この唄の箇所を役者全員の“群読” つまりシュプレヒコールで表現した。ただ、一箇所だけ台詞の中に「苦力は、ずっと唄っていた」という台詞がある為、そこだけは唄になった。

 

無事、本番終了

 

例えアトリエ公演でも“劇団櫂人”の名前での初の公演、劇団としての“第一歩”でした。

第二回アトリエ公演2013年7月

劇団 櫂人 稽古場“アトリエそら”にて

 

演目、キャスト、演出家 第一回公演と同じ

 

第一回と第二回公演との大きな違いは、唄よる「異化効果」を全面に押し出した事。その為、この舞台の為のオリジナル曲を音楽家 藤田佐知子さんに依頼10曲余りの“新曲”が出来上がる。前回の公演では、劇中 一曲のみだったのに比べると大きな違いである。

 

■稽古から本番へ

やはり苦労した点は、10曲余りの曲を覚え唄う事、藤田さんより唄の指導を受けての稽古を重ねる。

第一回公演と台詞の大幅な変更は無かったものの 唄が入る事で前回と演出が変わり、再演ながら全くの“別物”の舞台となった。

 

 

 

■総括

劇団を立ち上げての始めての公演 「例外と原則」“始めて”とい意味では、これから劇団を続けていく中で ずっと一緒についてくる演目でもある。

そして、せっかく作って頂いた“オリジナル曲” 一回だけでは勿体無い、これからも、何度も再演したい作品である。

 

 

そして もう一つ

 

この作品の翻訳をされた“岩渕達治”氏 この年2月に御逝去されました。

我々の公演直後という事になります。岩渕氏は、ドイツ文学者であり劇作家であり そして多数“ブレヒト”作品の翻訳を手掛けた方です。

おそらく、我々劇団が 岩渕達治氏“翻訳”の舞台を公演した最後の劇団であろうと思いますと 何か感慨深い気持ちであります

 

 

文責/甲斐