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アトリエ公演2016

構成・演出:篠本賢一

​    リーディング

青鞜を巡る女たちと男たち

ー「ブルーストッキングの女たち」予告編ー

「元始、女性は実に太陽であった」
劇団櫂人は来年5月に第3回公演として作・宮本研『ブルーストッキングの女たち』を上演します。
今夏のアトリエ公演では、その公演の魅力と世界観をお伝えする予告編をリーディングでお楽しみ下さい。
<日時>8月21日(日)14:00/17:00開演
       22日(月)14:00/17:00開演
<木戸銭>1000円(日時指定自由席・全席予約制)
<予約方法>mail:ticketkaito@yahoo.co.jp
      ☎080-3001-4731(青木)
      HP:http://www.gekidankaito.com/ の「チケット予約」にアクセス
<会場>アトリエそら(東武東上線中板橋駅南口下車・徒歩7分)
<出演>青木恵・東條将孝・向後正枝・鈴木里花・田中淳子・宮下文子・服部次郎・戸張きみよ・
    水野真由美・渡辺泰子・佐藤陽子・黒井暁子・金井ケンイチ
<STAFF>小池恵子
      歴史が語りかける悲劇の意味
                     構成・演出:篠本賢一
 

 『ブルーストッキングの女たち』の舞台となる大正時代は、明治から始まった新しい国体に、民衆が異議を申し立て、社会に変革をもたらした時代でした。しかし、その自由な動きに対して、権力を強化し、国体を揺るがすものに束縛を強めていく時代でもあったのです。明治の終わり(明治四十四年)に大逆事件(※1)があり、大正の終わり(大正十四年)に治安維持法(※2)が交付され、自由な精神の芽は摘み取られてしまう世の中になりました。

 

 作者宮本研は戯曲についてこう語ります。

 

 「すべての歴史劇は悲劇である。すべての悲劇は歴史劇ではないが、しかし、すべての歴史劇は悲劇である」と、そして、「歴史として死んだ時間を今日によみがえらせるのだ」と。

 

 この劇は、社会と個人の相克、そしてまた、自らの精神と肉体の相克が描かれています。彼らの精神は理想に燃えていました。しかし、その理想は、社会の因習、あるいは、自らの肉体の欲望によって、裏切られる結果となります。私たちはいま、作者の言う「死んだ時間」を現代によみがえらせ、歴史が語り掛けてくれる悲劇の意味を考えていきたいと思います。演ずるということは、その時代背景や人物の思想にも踏み込んでいかなければなりません。来年五月の公演に向けて、表層的な情緒に流されないしっかりしたドラマを作り上げたいと思います。このリーディングドラマを皮切りに作業を始めていきたいと思います。

 

 そして来年五月、ぜひ劇場にお越しください。

 

(※1)1910年、明治天皇の暗殺を計画したとして、全国の社会主義者や自由主義者ら24人が死刑判決を受けた思想弾圧事件。12人は無期懲役に減刑されたが、幸徳秋水ら12人は翌年に処刑された。

 

(※2)国体の変革,私有財産制度の否定を目的とする結社の組織者と参加者を処罰する内容の法律。1925年(大正14)制定。当初の目的は,普通選挙法と日ソ国交樹立に対応して共産主義者の活動を取り締まることにあったが,次第に反政府・反国策的な思想や言論の自由の抑圧の手段として利用された。45年廃止。

​ 8月21日(日)は、好天に恵まれ約30の客席はマチネもソワレも満席だった。初日を開けたことを祝って元水産で初日祝いをした。
 22日(月)は台風9号が久しぶりに関東に直撃の予報が出され、朝から土砂降りの中、不安を抱えてアトリエそらに集合した。ちょうどお昼頃に東京直撃の予報で、お客様はとても来られたものではないだろう。それぞれの携帯にキャンセルの連絡が入り、予約名簿から消されていく。状況は最悪だが、だれも口には出さずに、それぞれの準備を進めていき、時間が来たので通し稽古を始める。「お客が一人でもいたら、本番はいつも通りにやるぞ!」とみな心に決めている。開場時間が来て、しばらく誰も来ない。10分過ぎた頃に、合羽ごと濡れ鼠なった女性のお客さんがやってきた。幕内で声は出さずに「ありがとう~~~」って叫んだ。そして、みなさん、濡れ鼠でやってきて、9名の方が客席に座って下さった。感謝の心に震えながら気合いを入れて上演した。青木代表の閉幕の挨拶は「本日は台風の中、お越しいただき、まことに有り難うございました」だった。
 
 ソワレの時間になると、山手線が倒木で不通になったという情報が入ってきて、台風は過ぎつつあったが交通状況は更に悪化してキャンセルは相次いだ。結局、ソワレは8名のお客さんだった。最後の上演ということだけでなく、台風の中来て下さったお客様への感謝の思いもあって、ソワレが一番いい出来だったと思う。
 台風直撃の困難の中、誰一人マイナス思考にならずに本番をやり通したことは、劇団櫂人の歴史に刻まれる忘れられない日になるだろう。こうやって困難を乗り越えながら劇団は強くなっていくのだなと思った。バラシを終わって、元水産での打ち上げに行く頃には台風は終わっていた。(HATTORI)
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